2007年11月4日日曜日

Born in the USA

日曜日: 本当に何年ぶりだろうか,8時間続けてベッドにいた.もちろん何度か目を覚ましかけたり,うつらうつらはしたのだけど,たっぷり長居したので後ろめたい気持ちも:笑.でもいい話だけでもなく,途中久しぶりに検査前の時のような,鋭い痛みが1時間程続いた.半分眠りながらひたすら収まるのを待つ.化学反応,今やっつけてるところ,とおぼろげに念じながら.腫瘍による痛みの場合は,酷くなると神経を麻痺させるしか方法はないので(父がそうだった),こればかりは勘弁して欲しいなあ.幸い,眠りからさめると落ち着いていた.

今日は長くぼさぼさに伸びた髪とひげをそりに散髪に外に出た.鏡に映る姿は,時間が経つにつれすっきりしていくのだが,やはりかなり細くやつれたのがわかる.娘にも改めて言われた.確かに10月9日から数えて3週間強で5,6 kg は落ちてるものね.幸い食欲は順調に戻りつつあるので,何とか長期低落傾向を食い止めたいものだ.写真は,散髪の帰りに撮った,無事入院から戻って来たマーチ.その横は愛車のアウトランダー.これにまたいつ乗れるのか.

入院中に読んだ本の中の一つ,村上春樹による音楽評論は秀逸だった.ロック,ポップス,ジャズからクラシックまで,この人の曲や演奏者,作曲者に対する表現力は驚嘆に値する.どうすればこんなに多様に言葉が紡がれているいくのか.クラシックはわからないが,よくジャズやロックの評論に,ただただ抽象的なだけの表現の文章を拝見するが,それとはちょっと質が違う.無論抽象的な表現な方が多いのだが,必ずそれらに対する裏付けが,豊富な作者の経験と綿密に調べたその曲や芸術家の背景や歴史とともに語られるのだ.

ブルース・スプリングスティーンの Born in the USA は,アメリカの独立記念日?かなにかの花火大会の時に大音量で流れ,周りの若者達(そのときはこちらも若者!)を熱狂の渦に巻き込んでいたのを思い出させる.で,自分もただただ,若者のの国粋?意識を昂揚させるだけの唄だと思い込み,意味なく盛り上がっていた.でもこの曲,本当はアメリカの貧しいワークアウト層出身の若者(ブルース自身そうだった)を元気づけるための唄だったそうだ.実際に世の中にこの曲が出るまでもいろいろな紆余曲折があったようだ.

ブルースが抱く悩みは,スーパースター,億万長者になった自分自身が,ワークアウト層のこの唄を歌うことによる矛盾にあるという.またこの悩みは後年もずっとつきまとっているそうだ.(でもこのような矛盾というのは,多かれ少なかれ誰でも抱えているものだ.レベルは違うが,あの日本シリーズの交代劇だって,善悪の問題ではなく,自己矛盾の中でとった指揮だと思う)とまあ,1度の読後感のみで書いているので細かいところは違っているかも知れないが,こんな感じで全編詳細に書かれていて読み応え十分.クラシックのことは曲も演奏者も殆ど知らなかったが,それでも面白かった.「意味がなければスウィングはない」というのが本のタイトル(だったと思う).

というわけで,休日らしく一日が過ぎた.やろうと思ってたことは皆ペンディング.明日出来ることは今日するな.これは社会に出てからのモットーの一つである.

 

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